社内報は「育てる」もの 

効果が出るまでに必要な視点とは

社内報は、社内の課題解決に向けた重要なコミュニケーションツールです。その目的は、企業理念の浸透風土の醸成、そして社員同士のつながりの強化、情報の共有などが第一義的なものであり、さらにそれがかなう事で定着率アップ、モチベーションの向上などの二次的な効果も期待きます。

しかしこれらの効果を短期的に求めるのは早計です。長期的な視点での取り組みによって発揮されます。最低限でも2年はかかるものと、最初にまず理解しておくことが大事です、。

今回は、社内報の役割とその効果を最大限に引き出すための視点を解説します。

ゆっくり育てる社内報

愛と養分がポイントです

社内報の本来の目的

社内報の目的は、いろいろ考えられますが、だいたいは次の4つに集約されます。

1 全社員に向けた情報共有

社内報の基本的な役割の一つは、全社員に情報を公平に届けることです。会社全体に関わる重要な方針やプロジェクトの進捗、新しい制度の導入、イベント情報など、必要な情報をタイムリーに伝えることで、組織内の透明性を高めます。

特に、規模が大きい企業や拠点が分散している組織においては、社員全員が同じ情報を共有できる機会が限られています。社内報は、そうした情報のギャップを埋め、組織全体の一体感を醸成するための重要なツールです。

2 企業理念の浸透

社内報を通じて、企業が掲げる理念やビジョン、価値観を繰り返し伝えることで、社員一人ひとりにその意義を理解してもらうことができます。理念は、一度伝えるだけでは浸透しません。社内報を活用し、さまざまな角度から理念を解説したり、実際に理念に基づいた行動を取った社員やチームを取り上げることで、日常業務の中に理念を定着させることができます。

3 企業風土の醸成

どの会社にも、それぞれ独自の風土や文化があります。たとえば、チャレンジ精神を大切にする会社や、チームワークを重視する会社など、その「らしさ」を形作る要素はさまざまです。社内報は、そのような風土を形作り、社員に共有するためのツールとして活用できます。

風土を醸成するためには、社員が「自分たちの会社らしい」と感じるエピソードや取り組みを取り上げることが効果的です。社内で成功したプロジェクトや、地道な努力が実を結んだ事例を取り上げることで、自然とその風土が浸透していきます。

4 社員同士のつながり強化

特に部署間の交流が少ない企業では、社員同士のコミュニケーション不足が課題になることがあります。社内報は、異なる部署や役職間の垣根を越えて、社員同士のつながりを深めるためのきっかけを提供します。

たとえば、社員紹介やインタビュー、あるいは日々の仕事やプライベートでの活動を特集することで、他部署の社員の人となりを知る機会が生まれます。「あの人、こんなことをしていたんだ」といった新たな発見が、社員同士の親近感を生み出します。

成果が現れるまでの期間

社内報は、その成果がすぐに目に見える形で現れるものではありません。短期的な効果を期待するのではなく、中長期的な視点でじっくりと育てていく必要があります。

短期(~1年)

  • 社内報をリニューアルしたり、新しいコンテンツを追加することで、社員の関心を引きやすい時期です。
  • ただし、この段階では理念の浸透や風土の変化といった本質的な効果はまだ現れません。

中期(1~2年)

  • 継続的に情報を発信し続けることで、少しずつ社員の意識に変化が現れ始めます。
  • 社内報の記事がきっかけとなり、部署内外でのコミュニケーションが活性化するなどの効果が期待されます。

長期(2年以上)

  • 理念や風土が社員の日常業務の中に自然と根付き、組織全体に一体感が生まれます。
  • 定着率の向上や採用力の強化といった、副次的な成果も次第に見られるようになります。

社内報を効果的に運用するためのポイント

社内報の成果を最大化するためには、いくつかの工夫が必要です。以下のポイントを参考に、計画的に運用していきましょう。

1. 明確な目的とターゲット設定

社内報を通じて何を達成したいのか、そして誰に向けて発信するのかを明確にしましょう。全社員を対象にするだけでなく、若手社員、管理職、現場スタッフなど、ターゲットを絞った特集を企画することで、内容の具体性と関心度を高めることができます。

2. ストーリー性を持たせる

単発の情報発信ではなく、シリーズ記事やテーマに沿った特集を通じて、読者が「次も読みたい」と思えるようなストーリー性を持たせましょう。

3. 社員を巻き込む

執筆者や取材対象者として社員を巻き込むことで、社内報への関心を高めることができます。また、社員自身が主役となるコンテンツは、読者の共感を得やすく、話題作りにもつながります。

4. フィードバックを取り入れる

読者からの反応を定期的に収集し、コンテンツの改善に役立てましょう。アンケートや感想の募集を通じて、社員のニーズに応じた内容に進化させることが大切です。

 

まとめ 社内報を「欠かせない存在」に育てるために

今回は、社内報の専門制作会社としては、きわめて当たり前のことを書きました。ただこれには理由があって、社会の進むスピードが目に見えて上がり、社内報にも費用対効果やスピード感が求められる風潮がでてきており、それに対して、いささか急すぎる、マイナスの変化も生じてしまっていると、現場で感じることが多いからです。

社内報は、情報発信だけでなく、企業文化を支え、組織の一体感を高めるための

「育てるツール」

です。その成果を焦らず、じっくりと積み上げていくことで、企業全体にとって欠かせない存在へと成長していきます。

2年後、社員から「この社内報があるからこそ、会社のことをより深く理解できる」と言われるような存在を目指す。せめてこのくらいのスピード感で取り組むことを進めます。

日本では、50年を超える歴史をもつ社内報もたくさんあります。そしてそのどれもが、共通した魂を持っています。

そんな社内報は、とても魅力的なんです。、まさに欠かせないツールです。

そんな社内報づくりを、私たちは応援しています!